2021/12/15

ACPとは?もしものための「人生会議」について考える

皆さんは「ACP」という言葉をご存知でしょうか。あまり聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、別名「人生会議」とも呼ばれており、近年必要性が高まっています。ACPを知っておくことで、本人・家族が後悔しない最期を過ごすことができるでしょう。 今回はACPが求められる理由や、手順・タイミングなどについて解説します。自分の人生を見つめ直す機会にもなりますので、ぜひ参考にしてください。

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ACPとは何か

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余命が限られてくると、約70%の人が自分の思いを十分に伝えられなくなると言われています。その前に行うべき取り組みがACP、アドバンス・ケア・プランニングです。ACPとは、治療やケアの方針、本人の価値観や希望について、本人・家族・関係機関が繰り返し話し合うプロセスを指します。 話し合いの内容は、病状や治療方針だけでなく、どのような医療やケアを望むのか、最期をどのように迎えたいのかといった具体的な希望まで含まれます。日本では「人生会議」とも呼ばれ、2018年頃から本格的に普及が進められています。医師や看護師、ソーシャルワーカー、ケアマネジャーなど多職種とともに進めることで、より現実的で具体的な話し合いが可能になります。また、ACPは一度きりではなく、病状や気持ちの変化に応じて継続的に見直していくことが重要です。

ACPが求められる理由

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ACPが必要とされる理由の一つは、残される家族の負担を減らすためです。病状が悪化し意思疎通が難しくなると、家族が治療方針を決断しなければならなくなります。点滴や胃ろうなどの選択を迫られたとき、「本人ならどう望んだか」と悩み、家族間で意見が分かれることもあります。その結果、後悔や強いストレスを抱え、抑うつ状態になる人もいます。ACPを行うことで、本人と家族の満足度が高まり、遺族のストレスやうつ傾向が軽減されたという報告もあります。 もう一つの理由は、本人が後悔のない最期を迎えるためです。話し合いを通じて、自分が大切にしてきた価値観や、これからどのように生きたいかを見つめ直す機会になります。自分でも気づいていなかった思いが明確になることもあります。

話し合うタイミングと進め方

ACPは、本人が意思決定できるうちに始めることが大切です。最初から細かい医療内容を決める必要はなく、「これからどんな風に生きたいか」といった大まかなテーマからでも構いません。病状に応じて、食事が取れなくなった場合の対応や、最期を過ごす場所など、具体的な内容へと話題を深めていきます。 また、本人が意思表示できなくなった場合に備え、代わりに意思決定を託せる人を決めておくことも重要です。進める際は一人で抱え込まず、かかりつけ医や看護師、ケアマネジャーなどと連携し、時間をかけて話し合う姿勢が求められます。一度で結論を出そうとせず、繰り返し確認していくことがACPの基本です。

実際の事例から見るACPの意義

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80代女性のAさんは末期膵臓がんと診断され、家族と医療スタッフとともに今後について話し合いました。元気なうちは自宅で過ごしたいという希望をもとに退院し、訪問診療と訪問看護を導入しました。その後、信頼関係を築く中で「自宅で最期を過ごしたい」「苦痛なく過ごしたい」という思いを確認できました。 病状が急速に悪化し意思疎通が困難になった際も、事前に希望が共有されていたため、無理な延命処置をせず、苦痛を抑えながら自宅で看取りを行うことができました。家族も「本人の希望を叶えられた」と納得して最期を見送ることができました。

ACPは人生の最終段階を支える基盤

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ACPは、単なる医療方針の確認ではなく、本人と家族が納得できる人生の最終段階を支えるためのプロセスです。多職種が関わり、継続的に対話を重ねることで、本人の意思を最大限尊重した選択が可能になります。相談できる医療・介護の関係機関とつながりを持ち、早い段階から話し合いを始めることが、後悔の少ない最期につながります。

まとめ

ACPは、本人が意思を伝えられるうちに治療やケアの希望を共有し、家族と医療・介護職が繰り返し話し合う大切なプロセスです。家族の負担を軽減し、本人が後悔のない最期を迎えるためにも、早期から継続的に取り組むことが重要です。