2024/08/14
「最近、父母の耳が聞こえづらくなっているけど、これって老人性難聴?」 上記のような悩みを持つ、ご家族の方も多いのではないでしょうか。 現在の日本は世界一の長寿大国であり、平均寿命が84.26歳とされています。[1]そのため、高齢者の多い日本では老人性難聴は決して珍しい状態ではありません。 本記事では、老人性難聴の特徴について詳しく解説します。併せて、治療方法や老人性難聴がみられる方とのコミュニケーション方法についても紹介します。 ぜひ記事を参考にしていただき、老人性難聴についての知識を深めましょう。
「最近、聞き返すことが増えた」「テレビの音が大きいと言われる」――そんな変化があれば、それは老人性難聴かもしれません。 老人性難聴とは、加齢による聴力の低下以外に特別な原因が見当たらない難聴のことを指します。年齢とともに耳の機能が少しずつ弱っていく、いわば“体の自然な変化”の一つです。 ただし、聞こえにくさは単なる不便さにとどまりません。会話が減り、人との交流が少なくなり、結果的に生活の質(QOL)にも影響します。さらに、中年期に難聴があると、その後の認知症リスクが高まるという研究もあり、決して軽く考えられない問題です。
老人性難聴の特徴はいくつかありますが、まず多いのが「高い音が聞き取りにくくなる」ことです。 実は、言葉を聞き分けるのに重要なのは子音の音です。そして子音には高い音域が多く含まれています。そのため、「聞こえてはいるけれど、何と言っているか分からない」という状態が起こります。 また、にぎやかな場所での会話が難しくなります。周囲の雑音と話し声をうまく分けられなくなるためです。音がこもって聞こえたり、割れて聞こえたりすることもあります。 さらに特徴的なのが、「小さい音は聞こえにくいのに、大きい音はうるさく感じる」という現象です。これをリクルートメント現象といいます。大声で話せばいいというわけではなく、“ちょうどいい音量”が大切なのです。 そして何より厄介なのは、ゆっくり進むため本人が気づきにくいことです。「年のせいかな」で済ませてしまいがちですが、周囲の人が違和感に気づくことも少なくありません。
原因は主に内耳の老化です。 内耳にある蝸牛という部分には、音を感じ取る感覚細胞が並んでいます。年齢とともにこれらの細胞が減少し、音の情報をうまく捉えられなくなります。 さらに、内耳の血管が硬くなることで十分な血液が届かなくなったり、神経の働きが弱まったりすることも影響します。 つまり、「耳そのものの老化」と「音を脳に伝える力の低下」が重なって起こるのが老人性難聴です。
診断には主に二つの検査が使われます。 一つは純音聴力検査です。低い音から高い音まで、どのくらい聞こえているかを測ります。もう一つは語音聴力検査で、実際の言葉がどれだけ聞き取れるかを調べます。補聴器の効果を予測するうえでも大切な検査です。 残念ながら、現在の医療では老人性難聴を完全に元に戻すことは難しいとされています。ただし、補聴器を使うことで生活に必要な聞こえを取り戻せる場合が多くあります。 さらに、聴力リハビリを行うことで、脳の聞き取り機能を鍛えることも可能です。「もう仕方ない」と諦める必要はありません。
もし身近な方に老人性難聴がある場合、少し工夫するだけで会話はぐっと楽になります。 まず、静かな環境を整えること。テレビを消すだけでも違います。次に、相手の注意を引いてから話しかけること。いきなり後ろから声をかけるのは避けましょう。 向かい合って、ゆっくり、はっきり話すことも大切です。口の動きや表情が見えるだけで理解度は上がります。必要に応じて身振り手振りや筆談も取り入れてください。 「聞こえない」のではなく、「聞き取りにくい」のです。その違いを理解することが、よりよい関係につながります。
老人性難聴は、加齢とともにゆっくり進行する自然な変化ですが、放置すると生活の質や人とのつながりに大きな影響を与えます。高音が聞き取りにくい、雑音の中で会話が難しい、大きな音がうるさく感じるなどの特徴があり、本人が気づきにくい点も重要です。完治は難しくても、補聴器やリハビリによって生活は大きく改善できます。そして周囲のちょっとした配慮が、何よりの支えになります。「最近少し聞こえづらいかも」と感じたら、それは早めに相談するサインかもしれません。気づいたときが、向き合うタイミングです。
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