2024/07/17

認知症の診断を受けられるのは何科?診療科の特徴や本人が受診を嫌がったときの対処法について解説

「家族が認知症かもしれないけど、どこに行けば診断を受けられるの?」 上記のように、ご家族の認知症が疑われる際に、どの診療科に受診をすれば診断をしてくれるのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。 本記事では、認知症の診断を受けられる診療科について解説します。それぞれの診療科を紹介すると同時に、ご家族が受診を嫌がった場合の対処法についてもお伝えします。 ご家族の認知症が疑われる場合、どの診療科に連れていけば良いのか悩んでいる方は、ぜひ記事を参考にしてください。

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認知症とは何か―現代日本における位置づけ

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認知症とは、思考力や記憶力、見当識といった脳の機能が何らかの原因によって障害され、日常生活に支障をきたす状態を指す。単なる物忘れとは異なり、掃除や金銭管理などこれまで当たり前にできていた行為が難しくなり、自立した生活が困難になる点に特徴がある。2025年には65歳以上の約5.4人に1人が認知症になると予測されており、日本社会において決して特別な病気ではない。 一方で、研究の進展により、早期発見・早期診断が可能となれば、治療によって進行を遅らせられる可能性も示されている。認知症は「治らない病気」という側面だけでなく、「早く気づくことに意味がある病気」へと認識が変化しつつある。

認知症の診断を担う診療科と専門機関

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認知症の診断は特定の一診療科に限定されるものではなく、精神科、心療内科、脳神経内科、老年内科、そしてもの忘れ外来など、複数の診療科で対応可能である。 精神科は心理的症状を含めて幅広く対応でき、認知症に寄り添った診療が期待できる点が特徴である。心療内科でも診断に対応している医療機関が増えているが、本来はストレス関連疾患を扱うため、事前確認が望ましい。脳神経内科は脳・神経疾患を専門とし、認知症の原因評価に強みを持つ。老年内科は高齢者医療を総合的に診る立場から、認知症かどうか判断がつかない段階でも相談しやすい。もの忘れ外来は記憶障害を専門に扱う外来で、心理検査や脳画像検査に対応していることが多い。 さらに、日本認知症学会が認定する認知症専門医の在籍機関を選択する方法もある。専門医は十分な経験と知識を有する医師として認定されており、より専門的な診療を希望する場合に有力な選択肢となる。

診断までの流れと検査内容

診断は、まず医師による問診から始まる。症状の内容や発症時期、既往歴、内服薬、きっかけとなる出来事などを確認し、必要に応じて家族が補足する。本人の受け答えが難しい場合や、検査に消極的な場合もあるため、家族の協力は重要である。簡単な記憶確認として、当日の行動や食事内容を尋ねられることもある。 検査は大きく一般的な身体検査と認知症検査に分けられる。血液・尿検査や心電図、レントゲン、感染症検査などは、他の疾患が関与していないかを確認する目的で実施される。認知症検査では、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)やミニメンタルステート検査(MMSE)、時計描画テストなどの神経心理学検査、さらにCTやMRI、SPECT、VSRADといった脳画像検査が行われる。これらを総合的に評価し、診断が確定される。

診断後の治療と向き合い方

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認知症の治療は、原因によって方針が異なる。水頭症や慢性硬膜下血腫のように原因疾患が明確な場合は、その治療によって症状改善が見込まれる。一方、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症のような神経変性疾患では、現時点で根本治療は困難である。 そのため、薬物療法やリハビリテーションを通じて進行を緩やかにし、生活の質を維持することが中心となる。認知症は完治を目指すというよりも、長期的に支えながら付き合っていく慢性疾患として理解することが重要である。

受診を嫌がる場合の対応

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認知症の疑いがあっても、本人が受診を拒否することは少なくない。その際には、怒ったり否定したりして自尊心を傷つけない配慮が求められる。本人はすでに不安を抱えている場合が多く、強い言葉はかえって拒否を強める可能性がある。 家族だけで説得が難しい場合には、親戚や孫など周囲の協力を得ることも有効である。また、信頼関係のあるかかりつけ医から受診を勧めてもらうことで、本人が納得しやすくなる場合もある。かかりつけ医がいない場合には、地域包括支援センターへの相談も一つの方法である。

まとめ

認知症は、記憶や判断力の低下によって日常生活に支障をきたす疾患であり、日本では高齢化の進行とともに身近な存在となっている。診断は精神科や脳神経内科、老年内科、もの忘れ外来など複数の診療科で受けることができ、専門医の在籍機関を選ぶ方法もある。診断は問診と身体検査、神経心理学検査や脳画像検査を組み合わせて行われる。原因によっては改善が可能な場合もあるが、多くは進行を遅らせながら生活を支える治療が中心となる。本人が受診をためらう場合には、尊厳を守りつつ周囲が協力し、専門家の力を借りることが重要である。認知症は早期発見と適切な支援によって、その後の生活の質を大きく左右する疾患であると言える。