2025/12/16

認知症による問題行動とは?それぞれの種類やご家族のための対処法を解説

「急に怒り出したり、話が通じないことが増えた」 「最近、問題行動が多くなってきた」 高齢の家族に見られるこうした変化は、認知症による「問題行動」かもしれません。認知症の進行に伴って、本人も家族も戸惑うような行動が見られることがあります。しかし、こうした問題行動には、認知症が引き起こす不安や混乱が影響しているため、家族だけで対処するのが難しい場合も少なくありません。 本記事では、認知症の問題行動の特徴や対処法について解説します。大切な人のために、少しでも穏やかで安心できる生活環境を整えるためにも、ぜひ参考にしてください。

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認知症の「中核症状」と「周辺症状(BPSD)」とは

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認知症には「中核症状」と「周辺症状」と呼ばれる二種類の症状があり、周辺症状はBPSDとも呼ばれます。中核症状とは、脳の認知機能そのものの障害を指し、すべての認知症の方に見られる基本的な症状です。 一方、周辺症状は、認知症の進行に加えて、環境や本人の性格、不安や混乱などが影響して起こる精神症状や行動の変化で、周囲から「問題行動」と見なされることが多いものです

認知症の中核症状と周辺症状の特徴

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中核症状には、記憶障害、見当識障害、失語、失行などが含まれます。これらの症状により生じた混乱や不安が、周辺症状を引き起こすきっかけとなり、結果として問題行動につながることがあります。 周辺症状は個人差が大きく、認知症を発症しても必ずしも全員に現れるわけではありませんが、症状の現れ方や程度には大きな違いがあります。

認知症で見られる主な問題行動

認知症では、徘徊、暴言・暴力、睡眠障害、食行動異常、介護拒否といった問題行動が見られることがあります。 徘徊は事故や行方不明のリスクがあり、暴言・暴力は混乱や不安、フラストレーションが原因で起こることがあります。睡眠障害は昼夜逆転や夜間の徘徊として現れ、食行動異常や介護拒否は介護者の負担が大きくなりやすい特徴があります。

問題行動への基本的な対応と治療

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認知症の問題行動への対応には、非薬物療法と薬物療法の二つのアプローチがあります。周辺症状に対しては、薬に頼らず、環境調整や関わり方を工夫する非薬物療法が原則として優先されます。 一方で、不安や興奮、睡眠障害などの症状が強い場合には、医師の判断のもとで薬物療法が行われることもあります。問題行動が見られる場合には、早めに医師やケアマネジャーに相談することが重要です。

まとめ

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認知症の問題行動は、認知症の進行に伴って現れ、本人の不安や混乱が背景となっていることが多くあります。そのため、家族だけで対応するのが難しい場合も少なくありません。 中核症状と周辺症状の違いを理解し、徘徊や暴言・暴力、睡眠障害などの問題行動の特徴を知ることは、適切な対応につながります。専門家のサポートを活用しながら、本人と家族の双方が少しでも安心して過ごせる環境を整えていくことが大切です。