2022/09/07

高齢者の骨折|入院したらどうしたらいい?

高齢者に多い「骨折」ですが、状況によっては今後の生活に大きな支障を及ぼす可能性があります。もし骨折で入院したら何を準備したら良いのか、リハビリはどこで行えるのかなど、不安に感じる方も多いはず。 今回は骨折で入院した際の流れや準備しておくことなどを解説します。万が一に備えて、今から理解しておきましょう。

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なぜ高齢者は骨折しやすいのか

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高齢者に骨折が多い背景には、いくつかの身体的変化があります。第一に、骨粗しょう症の存在です。加齢や女性ホルモンの低下により骨の強度が落ちると、わずかな転倒や衝撃でも骨折に至りやすくなります。日本では骨粗しょう症の有病者が1,000万人を超えるとされ、その多くが女性です。しかし自覚症状に乏しく、診断されないまま生活している方も少なくありません。 第二に、筋力低下があります。特に下半身の筋力が弱くなると、段差やカーペットのわずかな引っかかりでも転倒しやすくなります。転倒後に自力で起き上がれず、長時間動けない状態になるケースもあります。 さらに、加齢とともに皮下脂肪や皮下組織が減少するため、転倒時の衝撃を吸収するクッションが弱くなり、骨折のリスクが高まります。骨の弱さ、転倒しやすさ、衝撃吸収力の低下が重なることが、高齢者骨折の背景にあります。

入院時にまず整えること

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骨折すると多くの場合、手術や入院が必要になります。突然の入院で慌てないために、まず確認したいのが「限度額適用認定証」です。これを申請し病院に提示すれば、1か月あたりの医療費支払いが自己負担限度額までに抑えられます。後から払い戻しを受ける高額療養費制度もありますが、いったん全額を支払う必要があるため、事前申請が安心です。 近年はマイナンバーカードを保険証として利用できる医療機関も増え、オンラインで限度額情報を確認できる仕組みも整いつつあります。ただし、食事代や保険適用外費用は別途自己負担となる点には注意が必要です。 また、生命保険の加入状況も確認しておきたいポイントです。給付条件や日数制限などは契約内容によって異なります。入院中は余裕がなくなるため、早めの確認が望ましいでしょう。

退院後を見据えたリハビリの選択肢

骨折後は、急性期病院での治療が終わっても、すぐに元の生活へ戻れるとは限りません。そのため、リハビリ専門の病棟へ転院することがあります。 代表的なのが回復期リハビリ病棟です。1日最大3時間まで集中的なリハビリが可能で、大腿骨骨折など国が定めた対象疾患に限り入院できます。疾患ごとに入院上限日数が定められており、大腿骨や骨盤骨折では原則90日が目安です。 もう一つが地域包括ケア病棟です。疾患制限はなく、在宅復帰を目指してリハビリや療養を行います。入院期間は原則60日と短めですが、回復期リハビリ病棟の対象外となった場合の選択肢になります。転院調整は主治医や医療ソーシャルワーカーと相談しながら進めます。

介護保険と施設という選択

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骨折後、歩行能力が十分に回復しない場合には、介護保険の活用が重要になります。入院中に介護認定を申請しておくことで、退院後の選択肢が広がります。 たとえば介護老人保健施設は、要介護1〜5の方が入所できる施設で、自宅復帰を目標にリハビリを継続できます。回復期リハビリ病棟ほどの時間は確保できませんが、生活環境に近い形で機能回復を目指せる点が特徴です。 在宅復帰を目指す場合は、住宅改修や福祉用具の導入、訪問リハビリや通所サービスの調整など、準備が必要になります。早期からの介護保険申請が、その後の流れを円滑にします。

実例から見る現実

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80代女性の事例では、自宅での転倒により大腿骨頸部骨折を発症し、手術後に回復期リハビリ病棟へ転院しました。その後も歩行器が必要な状態が続き、介護老人保健施設でのリハビリを経て、自宅環境を整えたうえで退院に至りました。 この流れからわかるのは、骨折は単なる「けが」ではなく、その後の生活設計に直結する出来事だということです。医療、リハビリ、介護保険が連動して初めて、在宅生活への道筋が見えてきます。

まとめ

高齢者に骨折が多いのは、骨の脆弱化、筋力低下、衝撃吸収力の低下が重なるためです。骨折は生活の自立度を大きく左右する出来事であり、入院後の流れを理解しておくことが重要です。限度額適用認定証や生命保険の確認、リハビリ病棟の選択、介護保険の申請など、準備と情報が将来を左右します。骨折は誰にでも起こり得るからこそ、事前に制度と流れを知っておくことが安心につながります。