2020/07/23
高齢化社会の進む日本の中で問題になっているのが高齢者の認知症です。認知症とは加齢による物忘れとは異なり、日常生活に影響を及ぼすほどの記憶障害が特徴です。今回はそんな認知症について詳しく紹介していこうと思います。
高齢者の方は物忘れが激しくなる傾向があります。人間の脳は成長とともに発達しますが、30歳前後を境に萎縮が始まり、60歳になると目で見て分かる程度まで進行します。ただし、通常の脳萎縮は全盛期と比較して7%程度の減少であり、基本的に脳機能に大きな問題はありません。 一方で、萎縮の速度や程度には個人差があり、物忘れの頻度や判断力の低下に差が出てきます。加齢による物忘れは日常の些細な忘れ事が中心ですが、認知症ではそれ以上に大きな障害が生じます。 認知症が進行すると、被害妄想が出現することがあります。財布からお金がなくなったと感じて家族を疑ったり、介護スタッフの訪問を不法侵入と捉えることもあります。さらに進行すると排泄や咀嚼など日常生活動作そのものが困難になることもあります。
認知症は大きくアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管型認知症の3種類に分けることができます。 アルツハイマー型認知症は最も発症数が多く、脳にアミロイドβタンパクやタウタンパクが沈着し、海馬を中心に脳萎縮が進行します。年単位で穏やかに進行するのが特徴です。 レビー小体型認知症は、脳神経細胞内にレビー小体が出現することで発症します。調子の良い時と悪い時を繰り返しながら進行する点が特徴です。 脳血管型認知症は脳梗塞や脳出血をきっかけに発症し、発症部位によって症状が異なります。手足の痺れなどの後遺症を伴うこともあります。
平成29年高齢者白書では、2012年の認知症患者数は約460万人とされています。WHOの発表では、世界の認知症患者数は約3560万人で、2030年には6570万人、2050年には1億1540万人まで増加すると予測されています。 日本国内でも2030年には830万人、2050年には1016万人が認知症を発症すると予測されています。この推計では、将来的に85歳以上の約55%が認知症になる計算です。 認知症の内訳を見ると、アルツハイマー型認知症が約70%、レビー小体型認知症が約20%、脳血管型認知症が約2%とされています。若年性認知症では脳血管型が40%を占めています。
アルツハイマー型認知症では、記憶障害や見当識障害が目立ち、食事をしたことを忘れる、今いる場所が分からなくなるなどの症状が現れます。また、BPSDとして妄想や徘徊が見られることもあります。 レビー小体型認知症では注意力低下や空間認識力の低下が特徴です。抑うつ症状やパーキンソン病様症状が見られることもあり、症状の変動が大きい点に注意が必要です。 脳血管型認知症では、手足の麻痺や感覚異常などの身体症状が目立ちます。判断力や記憶力が比較的保たれることもありますが、急激な認知機能低下が起こることがあります。
認知症の診断では、身体検査、認知機能テスト、脳画像検査が行われます。血液検査や内分泌検査で身体的異常を確認します。 認知機能テストでは長谷川式スケールやMMSE検査が用いられ、記憶力や判断力を評価します。脳画像検査ではMRIやCTを用いて海馬の萎縮などを確認します。 これらの検査を組み合わせることで、認知症の有無や進行度を総合的に判断します。
認知症は単なる物忘れではなく、日常生活に大きな影響を及ぼす疾患です。高齢化が進む日本では、認知症を正しく理解し、早期に気づき、適切な支援につなげることが重要になります。認知症には種類ごとに特徴があり、症状や進行の仕方も異なります。そのため、変化を感じた段階で医療機関や相談窓口に相談することが大切です。本人だけでなく家族も精神的・身体的負担を抱えやすいため、一人で抱え込まず、地域資源や専門職の力を借りながら向き合っていきましょう。認知症と共に生活していくためには、正しい知識と支援体制が欠かせません。
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