2020/08/06
新型コロナウイルス感染症の流行で私たちの生活はガラリと変わりました。消毒しなければ服屋や飲食店へ入ることができません。今や消毒することが「マナー」になりつつあるのではないでしょうか。今回はそんな消毒について深掘りしていこうと思っています。消毒薬や消毒の文化がいつから始まっているのか、消毒薬にはどのような種類のものがあるのか紹介していきます。
消毒薬が登場したのは19世紀初頭とされています。 1822年には、フランスの薬剤師がさらし粉とソーダを用いた水溶液で、遺体から発生する異臭を防ぐことに成功しました。 1825年には、塩素化合物溶液に手を浸すことで感染予防に有用であることを示す論文が発表され、医師や医療スタッフの感染対策として注目されました。 1846年にはウィーン総合病院で、産褥熱による妊婦の死亡率の違いが問題となり、石鹸と流水だけでなく塩素化合物による手指洗浄が導入されました。 その結果、死亡率は大幅に減少し、手洗いと消毒の重要性が明確になりました。 その後も医療機関では消毒の重要性が広まり、1961年にはアメリカ公衆衛生局が医療従事者向けの手洗い教育を行っています。
消毒薬は手指や皮膚だけでなく、室内や診療室を清潔に保つための環境消毒にも使用されてきました。 かつては創部消毒に石炭酸が使われ、空気中の微生物対策として石炭酸噴霧装置が導入された時代もありました。 また、医療器具の消毒にも消毒薬が用いられるようになり、それ以前は煮沸による簡易的な消毒が一般的でした。 感染症の原因が明らかになるにつれ、高圧蒸気滅菌やエチレンオキサイドガスなどの方法が確立され、器具の消毒・滅菌が体系化されていきました。
消毒薬の効果は、濃度・温度・時間の3つの要素によって左右されます。 濃度は高すぎても低すぎても問題があり、アルコール消毒では50%以上が必要とされています。 温度は20℃以上が望ましく、消毒薬が触れている時間が長いほど効果は高くなります。 これら3つの条件が適切に揃うことで、消毒効果が十分に発揮されます。
消毒薬は効力によって高水準・中水準・低水準に分類されます。 高水準では芽胞を除くほとんどの微生物を死滅させ、中水準では結核菌や多くのウイルスに効果があります。 低水準では一般的な細菌やウイルスに効果を示します。 消毒薬は使用部位によっても使い分けが必要で、手指、環境、粘膜では使用できる薬剤が異なります。 消毒用エタノールやクロルヘキシジンは手指消毒に用いられ、ポピドンヨードは粘膜消毒に使用されます。
ウイルスに対しては高水準・中水準の消毒薬が効果を示しますが、低水準の消毒薬では十分な効果が得られません。 一般細菌については、多くの消毒薬が有効であることがわかっています。 日常生活における手指消毒や環境消毒が感染症予防に役立つのは、これらの効果に基づいています。
消毒薬には多くの種類があり、用途や対象によって使い分ける必要があります。むやみに消毒を行うのではなく、適切な消毒薬を適切な条件で使用することが重要です。日常生活の中で正しい知識をもとに消毒を行うことが、感染症対策につながります。
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