2020/07/09

高齢者の多剤服用における問題点を紹介します

日本の平均寿命は男性が81.25歳、女性が87.32歳です。年々平均寿命は増加の一途を辿っており、これからも長寿大国日本として日本人の寿命は伸び続けることでしょう。しかし、その過程で問題となるのが高齢者の基礎疾患です。加齢現症といって、人間は高齢になればなるほど身体の機能が低下します。そんな身体の機能を補う・病気を治療するために飲むのが薬です。薬は市販薬と処方箋薬の2種類に分けることができ、それぞれに特徴があります。今回は高齢者における薬の話をしたいと思います。

代替画像

高齢者と薬の関係

画像

高齢になるほど薬を服用している人の割合は高くなります。調査では、高齢者のうち薬を処方されていない人は約16%にとどまり、多くの人が何らかの薬を服用しています。 服用している薬の数は1〜2種類が最も多いものの、3種類以上の薬を服用している人も一定数存在します。薬の種類が増える背景には、複数の医療機関を受診していることが関係しています。高齢者では、風邪や急病のときだけでなく、慢性的な疾患の管理のために継続的に通院しているケースが多く見られます。内科、整形外科、心療内科など診療科ごとに受診することで、結果的に服用する薬の数が増える傾向があります。

薬に関する医療知識と副作用

画像

薬は「くすり」である一方で「リスク」も伴います。 鎮痛薬では胃腸障害、抗ヒスタミン薬では眠気や発疹、抗生物質ではアレルギー反応など、さまざまな副作用が報告されています。高齢者では加齢による身体機能の低下により、若い世代よりも薬の影響を受けやすくなります。そのため、体調不良が病気によるものなのか、薬の副作用なのか判断が難しくなることがあります。過去に薬で体調を崩した経験がある場合や、服用後に異変を感じた場合は、医師や薬剤師に相談することが重要です。

抗生物質の適正使用

抗生物質は細菌感染症の原因となる細菌を倒すために使用されます。原因療法として有効である一方、正常な細菌まで死滅させる可能性があります。 抗生物質を多用したり、不規則な間隔で服用したりすると、抗生物質に抵抗力を持つ耐性菌が体内で生じることがあります。耐性菌が発生すると抗生物質が効かなくなり、院内感染の原因となることもあります。抗生物質の適正使用には、適切な種類を選択し、決められた量と期間を守って服用することが求められます。飲み忘れてもまとめて服用することは避けなければなりません。

高齢者における多剤服用の弊害

画像

高齢者は複数の医療機関を受診することが多く、多剤服用になりやすい状況があります。 薬は腎臓や肝臓で代謝・排泄されますが、高齢者ではこれらの臓器の機能が低下している場合があります。そのため、薬が体内に残りやすく、有害事象が起きるリスクが高まります。また、複数の薬を同時に服用することで、相互作用が起こり、本来の効果が十分に得られないことや、副作用の原因が特定しにくくなることもあります。

多剤併用への対応と薬の管理

画像

多くの薬を服用している場合、まず本人がどのように感じているかが重要です。薬の量を減らしたいと考えている場合は、必ず主治医へ相談しましょう。自己判断で薬を中断したり休薬したりすることは避ける必要があります。 生活習慣病の中には、生活習慣の改善によって薬を使わずに安定するものもあります。高齢者が一人で生活している場合は、曜日ごとに分けられた薬ケースを使用するなど、服用管理の工夫も有効です。家族が服用状況を確認することで、飲み忘れや重複服用を防ぐことができます。

まとめ

高齢者は基礎疾患を抱えることが多く、薬を服用する機会も増えていきます。一方で、多剤服用による副作用や相互作用のリスクも高まります。薬は正しく使えば治療を支える重要な手段ですが、使い方次第でリスクにもなります。主治医や薬剤師と相談しながら、適切な服用と管理を行うことが重要です。