2021/02/17
高齢者になれば持病の1つや2つはあることと思います。日本人の死因で最も多いのは悪性新生物(がん)です。次に心疾患・脳血管疾患・肺炎・老衰・自殺と続きます。直接的な死因として挙げられる疾患もありますが、罹患しているという意味では他にも多くの病気が高齢者の方を襲っているのです。今回は高齢者の罹患している病名で多いものを紹介していこうと思います。
平成28年版高齢社会白書によると、65歳以上の高齢者1000人のうち約500人が何らかの自覚症状を抱えています。ただし、日常生活に支障があると答えたのは約250人にとどまります。ここで重要になるのが「健康格差」と「健康寿命」です。所得や学歴、職業といった社会経済的背景が健康に影響することはWHOも認めており、所得が低い人ほど死亡年齢が若く、要介護になりやすい傾向があります。教育年数が短い人ほど検診未受診率が高いことも示されています。健康寿命とは自立して生活できる期間を指し、平均寿命との差を縮めることが、生活の質向上や医療費抑制につながります。
高齢者に多い疾患の代表ががんです。2017年には約99万人が新たにがんと診断されました。罹患数が多いのは大腸がん、胃がん、肺がん、乳がんです。男性では前立腺がんが最も多く、女性では乳がんが最多となっています。死亡数が多いのは肺がん、大腸がん、胃がん、膵がん、肝がんです。また、乳がんは40歳前後に多く、小児では白血病などの血液がんがみられるなど、部位によって好発年齢が異なります。早期発見が生存率向上につながる点も重要です。
脳卒中は年間約111万人が発症し、約6万人が死亡しています。その約60%が脳梗塞で、高血圧や糖尿病が主な危険因子です。心筋梗塞は年間約173万人が発症し、約20万人が死亡しており、特に60代男性や喫煙者に多い疾患です。さらに、日本では約4300万人、つまり3人に1人が高血圧と推定されており、自覚症状がないまま心疾患や脳血管疾患のリスクを高めています。
肺炎は日本の死因第4位であり、世界的には主要な死因の一つです。ウイルスや細菌などが原因となり、高齢者や免疫力の低下した人で重症化しやすい特徴があります。インフルエンザや新型コロナウイルスも肺炎を引き起こします。また、喫煙者ではCOPD(慢性閉塞性肺疾患)を発症することがあり、肺炎時の重症化リスクが高まります。
高齢者は受療率が高く、複数の疾患を抱えることで多剤服用が問題となっています。病気を完全に避けることは難しくても、血圧や体温、排便・排尿など日々の体調を把握することで重症化を防ぐことができます。かかりつけ医を持ち、継続的に健康を管理することが、健康寿命を延ばす鍵となります。
高齢者の約半数が何らかの症状を抱える中で、がん、脳卒中、心疾患、高血圧、肺炎などが主要な健康課題となっています。社会的背景による健康格差も存在しますが、日々の健康管理と早期発見・早期対応により、健康寿命を延ばすことは可能です。これからの高齢社会では、単に長生きするだけでなく、いかに健康に生きる時間を確保するかが重要になります。
3月は、スギ花粉の飛散がピークを迎える季節です。「なんだか鼻がムズムズする」「喉がイガイガする」といった症状は、多くの日本人にとって春の風物詩ともいえるでしょう。しかし特に高齢の方の場合、こうした症状が単なる花粉症や風邪ではなく、もっと深刻な「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」のサインである可能性が潜んでいます。訪問診療の現場でも、「花粉症だと思っていたら、実は誤嚥が始まっていた」というケースに出会うことがあります。 本記事では、誤嚥性肺炎の予防方法についてわかりやすく解説します。ご家族やご自身の健康を守るためにも、ぜひ参考にしてください。
「なんとなく元気がない」は春のサイン? 「昨日まで元気だったのに、今日は食事が進まない」「夜中に何度も目が覚めて、昼間もぼんやりしている」 訪問診療でご自宅にお伺いすると、3月ごろからこんなご相談が増えてきます。検査しても異常が見つからない。でも明らかに「いつもと違う」。その背景に「春の寒暖差」による自律神経の乱れが関係していることが少なくありません。本記事では、春の寒暖差と自律神経の関係、そしてその予防方法についてわかりやすく解説します。ご家族やご自身の健康を守るためにも、ぜひ参考にしてください。
「最近、昼間なのにウトウトしてしまう」 「家族がずっとぼんやりしていて心配…」 高齢者の中には、日中に強い眠気を感じる「傾眠傾向」が見られることがありますが、単なる疲れと見過ごしてしまうことも少なくありません。傾眠傾向は、体力の低下や病気、薬の副作用など、さまざまな原因で引き起こされるため、注意が必要です。本記事では、傾眠傾向の特徴や原因、具体的な対処法について詳しく解説します。大切な人の健康を守るためにも、ぜひ参考にしてください。
「急に怒り出したり、話が通じないことが増えた」 「最近、問題行動が多くなってきた」 高齢の家族に見られるこうした変化は、認知症による「問題行動」かもしれません。認知症の進行に伴って、本人も家族も戸惑うような行動が見られることがあります。しかし、こうした問題行動には、認知症が引き起こす不安や混乱が影響しているため、家族だけで対処するのが難しい場合も少なくありません。 本記事では、認知症の問題行動の特徴や対処法について解説します。大切な人のために、少しでも穏やかで安心できる生活環境を整えるためにも、ぜひ参考にしてください。
「食事中にむせることが増えた」 「飲み込むのが大変そうになっている」 高齢の家族に見られるこうした変化は、嚥下機能の低下によるものかもしれません。嚥下機能の低下は、食事の楽しみを奪うだけでなく、誤嚥性肺炎や栄養不足といった健康リスクを引き起こす可能性があります。しかし、嚥下機能低下は早期のケアや適切な対策によって予防・改善が可能です。 本記事では、嚥下機能が低下する原因や具体的な対策について解説します。
「夜中に急に落ち着かなくなり、家の中を歩き回る」 「普段は穏やかなのに、突然怒り出したり、不安そうにしている」 ご家族にこうした行動が見られると、認知症かもしれないと心配になりますよね。しかし、それは認知症ではなく、せん妄かもしれません。せん妄は認知症と似ていますが、症状が突然現れるため、急激な変化に周囲の人は心配になってしまうことも多いです。 本記事では、せん妄の症状や原因、認知症との違い、そして予防法について解説していきます。