2022/01/12
日本人の3大死因は悪性新生物・心疾患・脳血管疾患です。第4位には肺炎が入っています。肺炎は過去死因第3位となっていた疾患です。いまだに死亡者数は多く、年間11万人が肺炎で亡くなっています。若年層ではそこまで罹患率が高くないですが、85歳以上の高齢者では発症率が高い疾患として有名です。その原因の一つに誤嚥があります。今回はそんな誤嚥と肺炎の関係性について見ていこうと思います。
誤嚥性肺炎とは、本来食道へ流れるはずの唾液や食べ物が気管に入り、細菌が肺で繁殖することで起こる肺炎です。嘔吐物が気管に入り、胃酸によって炎症を起こす化学性肺炎も含まれます。高齢者に多く、肺炎患者の約7割が75歳以上であり、その多くが誤嚥性肺炎とされています。背景には脳血管疾患の後遺症などによる嚥下障害が大きく関係しています。
嚥下は単に飲み込む動作だけでなく、食べ物を認識し、口に入れ、噛み、喉へ送り、食道へ流す一連の過程を含みます。口腔期、咽頭期、食道期という段階を経て成り立っています。 嚥下障害があると誤嚥のリスクが高まり、経口摂取が制限されることで低栄養や体重減少につながることもあります。加齢による筋力低下も原因の一つです。簡便なスクリーニングとして反復唾液嚥下テストがあり、30秒間に3回未満の空嚥下で陽性と判断されます。確定診断には嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査が用いられます。
誤嚥性肺炎の予防には嚥下機能の維持向上が重要ですが、完全に防ぐことは難しいとされています。むせが起きない不顕性誤嚥もあるため、リハビリだけでなく口腔内を清潔に保つことが欠かせません。口腔内の細菌を減らすことで、万が一誤嚥が起きても肺炎発症のリスクを下げることができます。
基本は歯ブラシによる歯磨きです。舌苔がある場合は舌ブラシで優しく清掃します。入れ歯は流水で丁寧に洗い、強くこすらないことが大切です。無歯顎の方にはスポンジブラシを用いて粘膜を清潔に保ちます。 また、高齢になると唾液分泌が減少し口腔乾燥が起こりやすくなります。乾燥は細菌繁殖や嚥下機能低下につながるため、日常的な保湿やケアが重要です。
嚥下障害が疑われる場合は、耳鼻科や歯科に相談することが大切です。嚥下内視鏡検査を在宅で行える医療機関も増えています。地域の医療・介護職と連携しながら早期に対応することで、誤嚥性肺炎の予防につながります。日々のケアと専門的支援の積み重ねが重要です。
誤嚥性肺炎は高齢者に多く、嚥下障害や加齢による機能低下が背景にあります。完全な予防は難しいものの、嚥下訓練と適切な口腔ケア、専門職との連携を継続することで発症リスクを減らすことができます。日々の積み重ねが誤嚥防止につながります。
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