2021/11/24

最期を選ぶ医療!在宅看取りの割合増加

在宅医療を受ける人の数は多くなっており、その分自宅で最期を迎える人も増えています。国民のおよそ60%以上が自宅で療養したいと考えているのです。また、ここ数年は新型コロナウイルス感染症の影響で病院へ入ると面会できないなどの観点から在宅医療を希望する方が多いようです。コロナの感染拡大により外出自粛や行動制限などがありますが、自粛生活が長引くことで家族の絆が深まるケースもあり複雑な心境です。 さて、今回はそんな在宅医療の中でも最も重要となる「看取り」に関するお話です。

サムネイル

終末期医療とターミナルの考え方

画像

在宅医療のゴールは必ずしも治癒ではなく、多くの場合は人生の最期をどう迎えるかにあります。寝たきりや緩和ケア、ホスピスに近い療養では、できる限り自分らしい最期を迎えることが目的となり、これを終末期医療、あるいはターミナル医療と呼びます。一般的な看護が日常生活の援助や状態観察を中心とするのに対し、終末期看護は苦痛の緩和が主目的である点が大きな違いです。 ターミナル期の明確な定義はありませんが、全日本病院協会のガイドラインでは、治療による回復が期待できないと複数医師が判断し、患者や家族が納得し、死を予測して対応を考える段階を指しています。また、キューブラー・ロスの理論では、人は死を受け入れる過程で否認、怒り、取引、抑うつ、受容という五つの段階を経るとされており、患者の心理的変化を理解する視点も重要です。

ターミナル期における全人的苦痛

画像

終末期医療で向き合うのは全人的苦痛であり、身体的、精神的、社会的、スピリチュアル的の四つの側面があります。身体的苦痛には疼痛や倦怠感、浮腫などが含まれ、特に末期がんでは耐え難い痛みを伴います。精神的苦痛は不安や孤独、恐怖といった感情の高まりであり、脳機能低下によりせん妄が生じることもあります。社会的苦痛は仕事や社会的役割を失うことによる疎外感、スピリチュアル的苦痛は人生や存在そのものへの悲観に関わるものです。これらは相互に影響し合い、包括的な支援が求められます。

身体的苦痛への看護

身体的苦痛の代表である疼痛には体性痛、内臓痛、神経障害性疼痛があり、オピオイドなどでコントロールしますが、眠気や便秘、悪心、せん妄といった副作用への配慮も必要です。痛みは本人しか分からないため、部位や出現時間、強さを観察し、痛みスケールで評価します。倦怠感については発症時期や性質、服薬状況、検査データを確認し、体力消耗が原因であればマッサージなど理学療法を取り入れます。食欲不振はがんや抗がん剤の影響、消化器疾患などで見られ、摂取量や体重減少、検査所見を把握することが重要です。

精神的・社会的苦痛への看護

画像

精神的苦痛は他者に理解されにくく、患者自身もその孤立感を抱きやすい特徴があります。不安の内容や身体症状への影響、精神状態の不安定さを観察し、評価スケールを用いて把握します。せん妄は高齢者に多く、死亡直前の約9割に見られるとされ、注意力や日内変動、認知機能の変化を観察します。うつ病や認知症との鑑別が難しい点にも注意が必要です。 社会的苦痛は病気による役割喪失や人間関係の変化から生じます。家族との関係性やキーパーソンの存在、コミュニケーション状況を把握し、家族の支援を得ることが緩和につながります。家族が看護に参画することで孤独感が軽減され、穏やかな最期を迎える可能性も高まります。

苦痛緩和は特別なことではない

画像

苦痛緩和は医師や看護師だけの役割ではなく、家族や周囲の人も関わることができます。特別な技術だけでなく、寄り添い、支える姿勢が重要です。入院治療が難しくなる中で、住み慣れた環境で最期を迎える選択肢も広がっています。患者が自分らしく穏やかに過ごせるよう、医療者と家族が協力しながら支えていくことが、終末期医療の本質といえます。

まとめ

終末期医療では治癒ではなく苦痛の緩和と尊厳ある最期が目的となります。身体的、精神的、社会的、スピリチュアル的な全人的苦痛に向き合い、多職種と家族が連携することで、患者が穏やかに人生を締めくくる環境を整えることが重要です。