2022/12/14
2020年5月に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が制定されました。より多くの人が長く就労できるよう多様化する中で、長期化する高齢化社会の経済基盤を充実させるための制度です。 制度改正は2022年4月から施行され、さらに10月より適応拡大となっています。どんな改正がされているかご存知でしょうか。今回は年金制度改正のポイントや背景などを、わかりやすく解説します。私達の生活に大きく関わってくるので、しっかり理解しておきましょう。
現在の日本の年金制度は、いわゆる「3階建て構造」で成り立っています。1階部分はすべての20歳以上60歳未満の国民が加入する国民年金、2階部分は会社員や公務員などが加入する厚生年金です。この1階と2階が公的年金にあたり、国が社会保障制度の一環として運営しています。 さらに3階部分には、企業年金や個人で積み立てる制度などがあり、老後の所得を上乗せする役割を果たしています。会社員は厚生年金に加入することで2階部分まで保障されますが、自営業者などは原則として国民年金のみとなるため、将来受け取る年金額に差が生じる可能性があります。
近年、シニア世代や女性の就労が増え、多様な働き方が広がっています。一方で、少子高齢化により現役世代の人口は減少し、社会保障費の負担は増大しています。このような社会構造の変化に対応するため、年金制度は繰り返し見直されてきました。 令和4年4月以降の改正では、社会保険の適用拡大、受給開始年齢の選択肢拡大、在職老齢年金制度の見直し、確定拠出年金の加入要件緩和が大きな柱となっています。いずれも、働きながら老後の安定を確保するという方向性が強く打ち出されています。
まず社会保険の適用が拡大され、短時間労働者にも厚生年金の対象が広がりました。これまで従業員501人以上の企業が対象でしたが、2022年10月からは101人以上、2024年10月からは51人以上の事業所へと段階的に拡大されています。加入すれば将来の年金額が増えるだけでなく、傷病手当金などの保障も受けられる点が特徴です。 また、年金の受給開始年齢の選択肢は70歳から75歳までに拡大されました。65歳より前に受給すれば減額、後ろに繰り下げれば増額され、75歳開始の場合は最大84%増額となります。ただし、繰り下げれば必ず得になるわけではなく、寿命や税負担との兼ね合いも考慮する必要があります。
60歳以降も働きながら年金を受給する場合、賃金と年金の合計が一定額を超えると年金が減額される仕組みがあります。これが在職老齢年金制度です。従来は月28万円が基準でしたが、改正により47万円へ引き上げられました。これにより、働き方を抑えていた人も、より柔軟に就労できるようになっています。 さらに「在職定時改定」が導入され、65歳以上で働きながら保険料を納めている人は、毎年10月にその分が年金額へ反映されるようになりました。これまでは退職時や70歳到達時まで反映されませんでしたが、早期に増額が実感できる制度へと変わっています。
確定拠出年金(DC)は、企業型と個人型(iDeCo)があり、自ら積み立てて運用する制度です。今回の改正で、企業型DCは70歳未満まで、個人型DCは65歳未満まで加入可能となりました。さらに企業型DC加入者も条件付きでiDeCoへ加入しやすくなるなど、活用の幅が広がっています。 長く働く時代に合わせ、老後資金を自助努力で補完できる仕組みを整えた改正といえます。
現在の年金制度は、国民年金と厚生年金を基盤とする3階建て構造を基本としつつ、社会の変化に応じて柔軟に見直されています。今回の改正では、短時間労働者の社会保険適用拡大、受給開始年齢の選択肢拡大、在職老齢年金の基準緩和、確定拠出年金の加入要件緩和が柱となりました。「人生100年時代」と言われる今、年金は単に受け取る制度ではなく、働き方や資産形成と密接に結びつく制度へと変化しています。制度の仕組みを理解し、自身のライフプランに合わせて活用していく視点がこれまで以上に重要になっています。
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