2021/06/02

医療と福祉の現場で活用される連携医療

「連携をとる」ことは難しいことではありません。しかし、多くの事柄で連携の取れていないケースが見受けられます。連携とらなければいけない業種で有名なのは医療業界です。医療職は多くの業種が関わり、連携を取っているからです。そこで今回は医療における連携の重要性とともに医療業界が他業界とどのように連携とっているのか紹介していきます。

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連携医療の基本

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医療現場では、日常的に「連携」が求められています。病院では医師・看護師だけでなく、薬剤師、理学療法士、作業療法士、医療事務など多職種が関わり、一人の患者を支えています。例えば骨折した高齢者の場合、医師が治療を担い、看護師がケアを行い、リハビリ職が退院後の生活を見据えた支援を行うなど、それぞれの専門性が組み合わさります。また、救急外来で外傷患者が搬送された際に消化器外科や脳外科と連携するように、診療科を越えた協力も連携医療の一部です。さらに、地域では診療所と病院が紹介・逆紹介を通じて情報共有し、生活圏内での継続的なフォローを可能にしています。

連携医療が求められた背景

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かつては主治医の意見が絶対とされる父権的医療が主流でしたが、時代の変化とともに患者中心の医療へと転換しました。医療機関の増加により患者が治療法や医療機関を選べるようになる一方、大病院への患者集中や待ち時間の増加といった問題が生じます。そこで課題となったのが医療資源の配分です。医療資源とは「人(医療従事者)」「モノ(医療物資)」「場所(病床)」を指し、これらが偏ると医療提供は立ち行かなくなります。新型コロナ流行時に医療崩壊が懸念されたのも、資源不足が背景にありました。そのため、経過観察のみの患者を地域の診療所で診るなど、役割分担が重視されるようになったのです。

制度改革と地域医療の推進

1992年の第二次医療法改正では、医療機関間の連携強化が法的に明示され、特定機能病院や療養型病床群が規定されました。患者紹介や情報提供の責務も盛り込まれ、診療報酬上の加算制度により連携が促進されました。しかし一部では紹介率向上を目的とした形式的運用も見られ、十分に機能したとは言えません。2006年以降は、急性期から回復期・慢性期・在宅医療まで切れ目のない医療体制の構築へと方向転換し、連携の「量」ではなく「質」を評価する仕組みへ移行しました。早期退院と在宅復帰を支える体制は、医療費削減と患者満足度向上の両立を目指すものです。

2025年に向けた在宅医療の課題

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高齢化が進む中、2025年には在宅医療を必要とする人が29万人に達すると予測されています。課題として挙げられているのは、緊急時に受け入れ可能な病床の確保、24時間対応可能な医師や訪問看護体制の整備です。在宅医療では自治体や医師会が「ハブ」となり連携を調整する役割が理想とされますが、地域差や個別ニーズの多様性が課題となっています。介護が必要な場合はケアマネージャーが調整役となり、家族支援や地域支援も欠かせません。多職種会議では、高齢者の不安の深さ、生活支援の複雑さ、医療知識不足、支援体制の限界など現場の課題が共有されてきました。

医療と福祉の連携へ

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これからの連携医療は、医療職同士だけでなく医療と福祉の協働が不可欠です。在宅医療では福祉職が患者と接する時間が長く、生活面の変化を最も早く察知できる存在です。入院中心の医療が難しくなる中、住み慣れた地域で24時間体制の医療を提供し、医療と介護が一体となって支える仕組みが求められています。

まとめ

連携医療は、病院内の多職種協働から地域の医療機関間連携、さらには医療と介護・福祉の統合へと広がっています。その背景には医療資源の限界と高齢化社会の進行があります。制度改革を経て、今は「切れ目のない医療」と「質の高い連携」が重視される時代です。2025年を見据え、地域全体で支える医療体制の構築が不可欠となっています。