2019/11/29

在宅緩和ケアにおける実情と問題点を紹介します

在宅医療を利用される方の中には、緩和ケアを求める方がいます。実際に医療を取り囲む環境も緩和ケアへ向けて変動しており、地域包括ケアという名の下に、「住み慣れた地域で最期まで自分らしい暮らしができるような仕組み」作りに動いています。そこで今回は在宅医療における緩和ケアについて紹介していこうと思います。

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在宅緩和ケアとは何か

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在宅医療を受けながら緩和ケアを行うことを、在宅緩和ケアと呼びます。緩和ケアは、治療途中の患者さんではなく、「死」を受け入れた患者さんが行う医療でもあります。 最期を迎える場所は病院だけではなく、家族や友人など周囲の理解と協力があれば、自宅で迎えることも可能です。近年は在宅で最期を迎える選択をする人が増えていますが、その一方で在宅緩和ケアには多くの課題も存在しています。

在宅緩和ケアにおける患者さんと家族の問題

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在宅緩和ケアでは、患者さんの問題は身体的問題と精神的問題に分けられます。身体的問題として多いのは「疼痛管理」や「食欲低下・経口摂食困難」で、全体の約60%の患者さんが感じています。疼痛には痛み止めを用いて対応しますが、副作用として便秘が生じることもあり、これも負担となります。 精神的な問題としては、不安感や抑うつ状態が見られることがあります。さらに家族側では、介護負担の重さや医療・介護に関する知識不足を訴えるケースが多く見られます。

緩和ケアの定義と在宅で求められる役割

緩和ケアとは、最期を迎えるまでに生じる身体的・精神的な苦痛をできる限り取り除くことを目的としたケアです。患者さん本人だけでなく、看取りを行う家族の精神面にも配慮する点が特徴です。 例えば、余命1か月と宣告された患者さんのうち約44%が自宅で最期を迎えたいと希望しています。緩和ケアは末期がんに限らず、末期がん以外の患者さんにも行われますが、現状ではがん性疼痛や抗がん剤の副作用への対応が目立っています。

在宅緩和ケアを支える重要な3つのポイント

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在宅で緩和ケアを行うためには、①患者さんと家族の希望、②医療システムの整備、③多職種間の連携が重要です。 患者さん本人と家族の意思が一致していない場合や、家族が在宅ケアに消極的な場合、在宅緩和ケアは円滑に進みません。また、体調急変に備えた24時間対応の医療体制や、往診・後方支援病院の確保も不可欠です。さらに、医師・看護師・薬剤師・ケアマネージャーなど多職種が情報を共有し連携することが求められます。

在宅緩和ケアに残る課題

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在宅緩和ケアの利用は増えていますが、医療環境の整備、後方支援の不足、看取りに対する知識不足といった課題があります。24時間対応できる医療機関や人材はまだ十分とはいえません。 また、在宅緩和ケアにかかる費用や実施割合などの情報が不足しており、判断材料が少ない点も問題です。さらに、ガイドライン整備が進む一方で、訪問看護師など現場の業務負担が拡大している現状や、家族の協力体制が整わないケースも課題として挙げられます。

まとめ

在宅緩和ケアは、病気を治すことではなく、生活の質(QOL)を高め、患者さんの尊厳と意思を守ることを目的としています。地域包括ケアの流れの中で、医療は病院完結型から地域密着型へと移行しています。課題は残されているものの、在宅緩和ケアは今後も進み続ける分野です。患者さんが最期まで自分らしく生きるための選択肢として、在宅緩和ケアの理解と環境整備がより重要になっていくでしょう。