2019/11/22
厚生労働省の調べによると日本人の死亡原因第1位は悪性新生物(がん)です。1985年に比べると2015年にはがんでの死亡数は約2倍にも増加しているのです。この背景には寿命の延伸による国民の高齢化が関係しているといわれています。また、がんは生涯で2人に1人が罹患するとされています。がんは発生する部位によりますが強い痛みを伴うことがあるだけでなく、治療で使用する抗がん剤の副作用で辛い思いをする患者さんも珍しくありません。治療をどれだけ進めても改善する余地がない場合や、がんが発見されたときにはすでに末期状態になっていたという場合では、患者さんの希望で緩和医療を受けることができます。 そこで、今回は緩和医療とはどのような医療でどのようなことをするのか、そして自宅で緩和医療を受ける際にみなさんが心配することについて紹介していこうと思います。
この記事の目次
がん性疼痛とは、腫瘍細胞による組織損傷や不快感など、がんに伴う苦痛全体を指します。苦痛の評価では、痛みの強さや性状だけでなく、日常生活への影響が重要な指標となります。 痛みの評価にはSTAS-Jが用いられ、0〜4の5段階で評価されます。適切に鎮痛剤を使用することで痛みをコントロールでき、患者さんの生活の質(QOL)を向上させることが可能です。がんによる痛みは身体的だけでなく、心理的・社会的・精神的にも大きな影響を及ぼします。
がんは進行度や治療可能性によって状態が異なり、単純に末期と判断できない場合もあります。厚生労働省は「治療に反応せず、進行性かつ治癒困難または治癒不能と考えられる状態」を「がんの末期」と定義しています。 緩和医療は末期がんに限らず、患者さんが治療を望まない場合など、患者さんの意思によって行われます。がんによる痛みや抗がん剤の副作用から解放されたいと考える場合、緩和医療は重要な選択肢となります。
がん治療には外科治療、放射線治療、化学療法があります。この中でも生活の質に大きく影響するのが化学療法です。抗がん剤はがん細胞だけでなく正常細胞にも影響し、吐き気、嘔吐、だるさ、口内炎、四肢の痺れなどの副作用を引き起こします。 これらの副作用は患者さんにとって大きな苦痛となり、日常生活の質を低下させる要因となります。
緩和医療は、がんの痛みや治療の辛さを緩和し、自然な流れで日常生活を送れるよう支援する医療です。医師や看護師だけでなく、薬剤師、管理栄養士、心理カウンセラー、ソーシャルワーカーなど多職種が連携します。 WHOの「除痛ラダー」に基づき段階的に鎮痛剤を使用し、医療用麻薬によって多くのがん性疼痛がコントロール可能とされています。 ターミナルケアは治療を完全に中止し、最期を穏やかに迎えることを目的とする点で異なり、緩和医療は治療と並行して行われるのが特徴です。
厚生労働省の調査では、終末期に自宅で療養したいと考える国民は約60%を超えています。一方で、60%以上が「最後まで自宅で療養するのは難しい」と感じており、希望と現実の間に乖離があります。 自宅での緩和医療は、住み慣れた環境で家族と長い時間を過ごせる点が特徴です。家族旅行ややりたいことを叶えるなど、患者さんの希望に沿った最期を迎えやすくなります。 また、自宅療養であっても医療とのつながりは続き、医師や看護師、ケアマネージャー、ヘルパーが連携し、急変時の対応体制も整えられます。
がんによる痛みや治療の辛さから解放し、生活の質を保つために緩和医療は重要な役割を果たします。緩和医療は開始時期や療養場所を患者さんや家族が選べる医療であり、自宅でも病院でも受けることができます。自分らしい場所で、家族と過ごしながら最期を迎える選択ができる時代だからこそ、辛い治療に悩んだときには緩和医療という選択肢を知っておくことが大切です。
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