2019/10/25

家族を看取るまでにできることとは?最期の別れは本人の望む形で迎えませんか?

厚生労働省が発表した「平成29年人口動態統計」を見ると、年間136万人が死亡しているとされています。いったい、約136万人のうち何名が自分の望んだ形で最期を迎えられているのでしょうか。ちなみにこの死亡数の中には不慮の事故や天災・自殺で亡くなった方も含まれています。 みなさんは、ご家族が高齢になり、老衰・病気・障害の進行により残された時間が限られているような場合にどのように対応しますか?出来るだけご家族の希望に沿った形で最期を迎えて欲しいと思う方が多いのではないでしょうか。そこで今回は自宅で最期を迎えたいという家族を看取るときにできることを紹介していこうと思います。

代替画像

生活の質を重視する「ターミナルケア」という考え方

画像

残された時間が限られているとき、治療による回復を目指すのではなく、「残された時間をどう過ごすか」を重視する医療の考え方があります。これがターミナルケアです。 ターミナルケアは1960年代からイギリスや欧米で広がり、延命を目的とした治療よりも、痛みや不快感を和らげ、心穏やかに過ごすことを優先します。末期がんだけでなく、治療効果が乏しい状態や、認知症の進行、寝たきりの高齢者にも選択されることがあります。 目的は、生活の質(QOL:Quality of Life)を維持・向上させながら、その人らしい最期を迎えることです。

ターミナルケアと緩和ケアの違い、始める時期

画像

ターミナルケアと混同されやすいものに緩和ケアがあります。緩和ケアは、病気の早期から身体的・心理的・社会的な苦痛を評価し、治療と並行してQOLの改善を図るケアです。その中で、治療よりも終末期の生活を重視する段階がターミナルケアと考えると理解しやすいでしょう。 ターミナルケアを始める時期は、患者本人や家族の判断に委ねられています。がんの場合は余命や治療効果、副作用の負担などを踏まえて検討されることが多く、認知症や老衰では、寝たきりになり十分な食事が取れなくなった時期が目安とされます。 ただし、ターミナルケアの開始は「延命治療を行わない選択」とほぼ同義になるため、慎重な話し合いが重要です。

ターミナルケアの3つの内容(身体・精神・社会)

ターミナルケアには身体的ケア・精神的ケア・社会的ケアの3つがあります。 身体的ケアでは、痛みや苦痛を和らげるための投薬調整、栄養補給の方法(経管栄養や点滴)の選択、清潔保持や褥瘡(床ずれ)予防、誤嚥性肺炎を防ぐ口腔ケアなどが行われます。 社会的ケアでは、医療費や介護費用への不安に対し、ソーシャルワーカーを通じて制度を活用します。また、役割喪失感や「迷惑をかけている」という気持ちへの配慮も重要です。 精神的ケアでは、死への恐怖や不安を否定せず、普段に近い環境を整えながら、家族や友人が寄り添い続けることが大きな支えになります。

家族が担う役割と関わり方

画像

ターミナルケアにおいて、医師や看護師の支援は不可欠ですが、家族や身近な人の存在はそれ以上に重要です。 患者さんは、怒りや不安、恐怖といった感情を言動で表すことがあります。こうした心理的プロセスを理解し、否定せずに受け止める姿勢が求められます。 また、身だしなみを整えたり、女性であればメイクをしたりすることは、生活リズムを保ち、意欲を高める効果があります。小さな配慮が、残された時間の質を大きく左右します。 

看取るまでに家族ができる具体的なこと

画像

家族としてできることの一つが思い出作りです。体調に配慮しながら、家族旅行やゆかりの地を訪ねるなど、無理のない範囲で時間を共有します。 また、患者さんが「やりたかったこと」を応援することも大切です。趣味を続けたり、新しいことに挑戦したりすることで、前向きな気持ちを保てます。 さらに、葬儀や相続などを考える終活の手伝いも、心残りを減らす支援になります。そして何より、最期まで寄り添い続けることが、家族にできる最大のケアです。

まとめ

家族を看取る過程では、看取られる側だけでなく、看取る側にも迷いや不安が生じます。100%後悔のない選択は難しいかもしれませんが、疑問や不安を訪問医療の専門職に相談しながら、その人にとって最良の形を一緒に考えることが大切です。<br /> 生活の質を大切にし、人間らしく最期を迎える選択肢として、ターミナルケアがあることをぜひ心に留めておいてください。