2026/03/02

高齢者で見られる「せん妄」とは?原因や症状・認知症との違いも解説

「夜中に急に落ち着かなくなり、家の中を歩き回る」 「普段は穏やかなのに、突然怒り出したり、不安そうにしている」 ご家族にこうした行動が見られると、認知症かもしれないと心配になりますよね。しかし、それは認知症ではなく、せん妄かもしれません。せん妄は認知症と似ていますが、症状が突然現れるため、急激な変化に周囲の人は心配になってしまうことも多いです。 本記事では、せん妄の症状や原因、認知症との違い、そして予防法について解説していきます。

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せん妄って、まず何が起きているの?

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せん妄は、急に始まる「一時的な脳の混乱状態」です。昨日まで普通に話せていたのに、入院したり環境が変わったりしたタイミングで、急に会話がかみ合わなくなったり、落ち着かなくなったりします。 認知症と似て見えることが多いのですが、せん妄は“ずっと続く病気”というより、「何かのきっかけで一時的に起きて、原因が取れたら良くなることが多い」という点が大きな特徴です。

せん妄でよく見られる症状

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せん妄は人によって出方が違いますが、よくあるのは「注意が続かない」「ぼんやりして話が入らない」といった注意力の低下です。 そして、時間帯で状態が変わるのも特徴で、昼は比較的しっかりしているのに、夕方〜夜にかけて混乱が強くなることがあります。 ほかにも、今どこにいるのか、何日なのかが分からなくなる見当識障害や、短期記憶や判断力が急に落ちるなどの認知機能の急激な低下が起こります。感情が不安定になって急に怒ったり泣いたりする、昼夜逆転して夜に興奮する、といった変化も珍しくありません。さらに、幻覚・幻聴が出ることもあり、家族が驚く原因になりやすいポイントです。

認知症とどう違うの?

いちばん大きい違いは「始まり方」です。せん妄は突然起こります。昨日まで普通だったのに、今日急に混乱する、という形です。 一方の認知症は、数か月〜数年かけてゆっくり進みます。最初は物忘れから始まり、少しずつ生活に影響が出てきます。 もう一つは「続き方」です。せん妄は原因が取れれば数日〜数週間で改善することが多いのに対して、認知症は進行性で、元の状態に完全に戻るのは難しいとされています。 ただ、症状が似ている場面も多いので、「何が原因か」を専門家に見てもらうことが重要になります。

高齢者がせん妄を起こしやすい原因

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せん妄は、体や心に強い負担がかかったときに起こりやすいです。認知症や脳卒中など、もともと脳にダメージがある人は特に起こしやすくなります。 薬も大きな要因で、新しい薬が増えた直後や薬の組み合わせ、逆に長く飲んでいた薬を急に中止したときに出ることがあります。 入院・手術・転居などの環境変化や、感染症などの身体的ストレスも典型的なきっかけです。加えて、脱水や栄養不良は脳のエネルギー不足につながり、せん妄の引き金になることがあります。

完全に防げないけど、減らせる工夫

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せん妄には「これをすれば絶対防げる」という方法はありません。ただ、起きやすい条件を減らすことで、リスクを下げることはできます。 生活リズムを整えて昼夜逆転を防ぐ、日中は光を浴びて軽く体を動かす、こまめに水分と栄養をとる。これだけでも土台が変わります。 入院や施設など慣れない環境では、写真や使い慣れた物を置く、家族が声をかけるなど「安心できる材料」を増やすのも効果的です。薬が変更された直後は特に注意して様子を見る、という視点も大切です。

まとめ

せん妄は、高齢者に起こりやすい「急に始まる一時的な混乱状態」で、注意力低下、日内変動、見当識障害、感情の不安定さ、睡眠の乱れ、幻覚などが見られます。認知症と似て見えるものの、せん妄は突然始まり、原因が取れると改善しやすい点が大きな違いです。薬の影響、入院や環境変化、感染症、脱水や栄養不良などが引き金になりやすいので、生活リズム・水分栄養・安心できる環境・薬の管理を意識しつつ、いつもと違う様子があれば早めに医療機関へ相談することが重要です。