2021/10/13

在宅医療の問題の解決策!これが地域の課題となっている

在宅医療が推進されるようになり、しばらく経ちました。高齢化は止まることなく、人口あたりにおける高齢者の割合は増加の一途を辿っています。人口あたりの病床数は国内でも十分とは言えません。新型コロナウイルス感染症の流行時にも、医療機関の収容可能人数が足らないという話が問題となりました。そこで、今回は在宅医療を受ける高齢者が増える今、在宅医療における問題点や解決策にどのようなものがあるのか紹介していきます。

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厚生労働省が指摘する在宅医療の構造的問題

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厚生労働省は平成23年に「在宅医療における患者紹介等について」という事務連絡を出し、在宅医療に関する不適切な契約事例に注意を促しました。問題となっているのは、在宅医療を行う医療機関が、高齢者が多く入居する集合住宅や有料老人ホームなどの運営事業者と有償契約を結び、患者紹介を集中的に受けているケースです。中には施設側が20パーセントのキックバックを要求している事例も紹介されています。 このような契約は、患者の医療機関選択の自由を制限する恐れがあり、さらにキックバック分を補填するために不必要な往診や過剰診療が行われる可能性もあります。例えば、300名の入居者を月4日程度で診察するなど、実態と乖離した診療が報告されています。これは診療の独占契約につながり、制度の根幹である自由選択を侵害しかねない重大な問題です。

在宅支援診療所の施設基準と制度設計の葛藤

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在宅医療への診療報酬適用は1981年に始まり、2006年には在宅支援診療所への加算制度が創設されました。在宅支援診療所として認定されるためには、24時間往診体制、常勤医師3名以上、年間5件以上の緊急往診実績、年間2件以上の看取り実績など厳しい施設基準が課されています。 これらの基準は質の高い在宅医療を確保するためのものですが、医療機関にとっては大きな負担でもあります。行政は在宅医療を拡充したい一方で、質が担保されない医療機関の乱立は避けたいという葛藤を抱えています。24時間体制を求めることは、医療機関に継続的責任を負わせる制度設計でもあります。

地域行政レベルの課題

滋賀県の事例では、退院調整の不十分さ、緊急対応体制の未整備、多職種連携の不足、24時間対応の困難さ、医療・介護従事者の技術向上不足などが指摘されています。看取り体制の整備も十分とは言えません。 さらに、介護保険制度による自己負担の問題もあり、経済的理由で必要な往診回数を受けられない患者が存在します。制度があっても実際に利用できないという構造的課題が浮き彫りになっています。

医師・訪問看護の負担と現場の現実

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在宅医療では医師の過剰勤務も問題です。24時間対応を強化する中で、医師が直接電話番号を渡すなどの対応を行うケースもあり、時間的制約が増しています。在宅医療は医師単独では成立せず、多職種連携が不可欠です。 訪問看護も同様に負担が大きくなっています。医師の指示のもと、気管カニューレ交換や点滴など高度な医療行為を担う場面が増え、一般的な看護業務よりも責任と負荷が高まっています。

地域医療におけるSDGsと住民主体の必要性

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高齢者の約55パーセントが自宅で最期を迎えたいと希望する一方で、実際の在宅死亡率は約14パーセントにとどまります。さらに、自宅療養は実現困難と回答した人が約66パーセントにのぼり、家族負担や急変時対応への不安、往診医不足などが理由として挙げられています。 2025年には団塊世代が後期高齢者となり、医療・介護需要は急増します。地域包括ケアシステムの確立が不可欠であり、医療・介護専門職のネットワーク構築と情報共有が求められます。同時に、住民自身が在宅医療や終末期医療への理解を深め、意思表示を行うことも重要です。地域差を踏まえ、自治体と住民が主体的に取り組む必要があります。

まとめ

在宅医療は制度上の不正契約問題、施設基準の負担、地域連携不足、医療従事者の過重労働、経済的制約など多面的な課題を抱えています。一方で、国民の多くは自宅での療養や看取りを希望しています。このギャップを埋めるには、多職種連携と地域包括ケアの強化、制度の適正運用、そして住民主体の理解と準備が不可欠です。在宅医療は一人では成立せず、地域全体で支える医療として再構築していく必要があります。