2021/07/21
日本の中で死因の第一位となるのが「がん」です。一昔前までは、がん=死ぬ病気というイメージがありましたが、最近ではどうでしょう。芸能人でも多くの人ががんの告白をして、職場へ復帰しています。また、みなさんの周りでもがんと戦っている方(通称:がんサバイバー)がいるのではないでしょうか。今回はそんながんの検診にスポットライトを当ててみます。
日本ではがん罹患者数が増加傾向にありますが、その背景には急速な高齢化があります。高齢者数の増加に伴い死亡者数も増えていますが、年齢構成の影響を除いた年齢調整罹患率で見ると、2010年以降は横ばいです。死亡率は1990年代半ばをピークに減少傾向となっています。医療水準の向上により検出精度が高まり、治療継続によって生存率が改善してきた結果、5年・10年生存率は部位を問わず上昇しています。
日本でがん研究が始まったのは1908年のがん研究会設立にさかのぼります。当時は伝染病が主な脅威で、がんへの関心は限定的でしたが、大正11年に天皇陛下から寄付を受けたことを契機に募金活動が進展しました。昭和9年には西巣鴨に研究所と附属病院が開院しましたが、東京大空襲で全焼し、戦後は銀座で再開。昭和37年には国立がんセンターや愛知県がんセンターが設立され、国も補助金を通じてがん治療を後押ししました。
がん検診は1960年、宮城県での胃がん巡回検診から始まり、1972年には東京都で本格化しました。現在、がん対策の基本は罹患率・死亡率の減少であり、その中心に検診があります。検診を機能させるためには、科学的根拠に基づく「アセスメント」、精度管理を徹底する「マネジメント」、そして受診者を増やす「受診率対策」の三要素が重要とされています。
日本の検診には市町村が実施する対策型検診と、個人が受ける任意型検診があります。対策型検診は老年保健法を契機に拡充され、現在は胃・肺・乳・大腸・子宮頸がんが対象です。対象年齢や検査方法も明確に定められています。受診率は全体で約40%と推測され、平成27年の発見率は胃0.12%、大腸0.22%、肺0.05%、乳0.33%、子宮頸0.04%でした。健康増進法に基づき市町村主体で推進され、近年は受診率も徐々に上昇しています。
公的検診が部位ごとに行われるのに対し、民間ではCTやPET検査による全身評価が行われています。CTは体内を断層画像で把握し、PETはがん細胞がグルコースを取り込みやすい性質を利用して診断します。精度が高い一方で費用は高額となる場合があり、1回10万円近くかかることもあります。
がんは高齢化により患者数が増えているように見えますが、医療の進歩によって死亡率は低下し、生存率は向上しています。長い歴史を経て整備された検診制度は、科学的根拠と精度管理のもとで発展し、市町村主体で広く実施されています。さらに民間検診という選択肢も広がる中、早期発見・早期治療を実現するためには、検診への理解と受診行動が何より重要です。
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