2021/07/14

ドローンで医薬品配送!ガイドライン策定の裏には僻地医療

空飛ぶ車や空を人が移動する世界―これらは21世紀からきた猫型ロボットが勉強できない少年を救う物語だけの話でした。しかし、現代では空中を使って物資の輸送へ向けて動き出しているのです。2021年6月に内閣府・厚生労働省・国土交通省は「ドローンによる医薬品配送に関するガイドライン」というものを公表しました。今回はドローンでものを運ぶという夢の実現へ話を進めていこうと思います。

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ドローン規制の背景と事故の増

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ドローンは複数のプロペラを備えた無人航空機で、空撮や農業分野を中心に急速に普及しました。しかしその一方で事故も増加しています。国土交通省の資料では年間約70件の事故が報告され、突風や落雷といった自然要因だけでなく、機体とコントローラーの接続不良による墜落も発生しています。農業用ドローンの操縦ミスによる死亡事故も3件確認されており、軽傷事故も継続的に起きています。こうした状況を受け、政府は法的規制の強化に踏み切りました。

航空法改正と操縦ルールの明確化

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従来、ドローンは農業用無人航空機として扱われ、特別な国家資格は求められていませんでした。しかし事故増加を背景に航空法の適用が進み、飛行前点検や気象確認、他航空機との衝突回避、飲酒操縦の禁止などが義務化されました。事故発生時には国による聞き取りや立入調査も可能となっています。法整備により、ドローンは“自由に飛ばせる機器”から“厳格な管理下にある航空機”へと位置づけが変化しました。

活用拡大と物流への展開

ドローンは農薬散布から始まり、空撮、重量物運搬、災害現場での捜索活動へと用途を広げてきました。物流分野では慢性的なトラックドライバー不足を背景に、配送手段としての可能性が注目されています。2018年に国の調査事業が始まり、2019年に基本指標が策定、2021年には「ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン」が公表されました。関係法令や事業継続性を整理し、全国規模で社会実験が進められています。

飛行に関わる主要法令

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ドローン飛行には複数の法律を遵守する必要があります。航空法では特定空域での飛行に国土交通大臣の許可が必要であり、アルコール下での操縦禁止や安全確認も規定されています。電波を使用する場合は電波法に基づく無線局の免許または登録が求められます。さらに、公道上での空撮には道路交通法や道路法の許可が必要です。ドローンは航空・通信・道路といった複数の法体系のもとで管理されています。

僻地医療と医薬品配送への応用

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内閣官房・厚生労働省・国土交通省が公表した「ドローンによる医薬品配送に関するガイドライン」は、僻地医療対策を念頭に置いたものです。僻地とは医療確保が困難な山間部や離島などを指し、無医地区は昭和41年の約3000地区から平成26年には約700地区まで減少しましたが、依然として課題は残っています。 2022年度からオンライン診療が恒久化され、遠隔診療後にドローンで医薬品を届ける構想が現実味を帯びています。ただし、最終的な医薬品の受け渡しは看護師など有資格者が行う必要があり、完全無人化には至っていません。今後の制度設計次第では、僻地医療の質と持続性向上につながる可能性があります。

まとめ

ドローンは事故増加を背景に規制が強化される一方、物流や医療分野での活用が広がっています。航空法を中心とした法整備のもと、安全性を確保しながら社会実装が進められています。特に医薬品配送は僻地医療の課題解決につながる可能性を持ち、今後の制度改善と運用の成熟が期待されます。