2019/12/20

訪問診療と往診で何が違うのか?その差って何か解説します

在宅医療という言葉にも市民権が与えられるようになりました。多くの方が「自宅で医療を受けることを在宅医療という」という認識でいるのではないでしょうか。概ね的をえていますが、在宅医療という言葉の中には訪問診療と往診という2つの表現があります。今回はその2つの言葉の違いだけでなく、具体的にどこが異なるのかなども紹介していこうと思います。

代替画像

訪問診療と往診の基本的な違い

画像

在宅医療には訪問診療と往診があります。どちらも医師が自宅や入居施設へ訪問し、診察や処置を行う点は共通しています。 両者の大きな違いは「定時」か「緊急」かという点です。訪問診療は、あらかじめ診療日時を決めて行われるもので、「隔週火曜日の17時から」など定期的に実施されます。一方、往診は体調の急変やトラブルが起きた際に要請して行われるもので、緊急時対応として位置づけられています。

往診の歴史と訪問診療の誕生

画像

往診は一昔前まで日本の医療の中心でした。江戸時代には病院や診療所という医療機関は存在せず、医師が患者の病床へ出向いて治療を行っていました。明治時代に病院が建設されても、往診の文化は残り、昭和初期までは多くの家庭で利用されていました。 訪問診療は1980年代に始まります。病院医療中心の体制の中で、たらい回しや長期療養患者への対応が問題視され、1981年に複数の地域で「定期往診」が開始されました。1986年にはこれが「訪問診療」として保険診療の対象となり、現在の制度につながっています。

訪問診療と往診の保険点数上の違い

訪問診療・往診はいずれも健康保険が適用されますが、算定方法や点数が異なります。 訪問診療では「在宅患者訪問診療料Ⅰ・Ⅱ」が設定されており、同一建物居住者か否か、定期的な訪問かどうかによって点数が分かれます。さらに、在宅ターミナルケア加算、看取り加算、死亡診断加算などが加算されます。 往診では、往診料を基本に、緊急往診加算、夜間休日往診加算、深夜往診加算などが状況に応じて加算されます。現在の保険制度では、訪問診療をベースに、必要に応じて往診の点数が上乗せされる仕組みとなっています。

訪問診療と往診それぞれが抱える課題

画像

在宅医療を利用する際には、家族の協力が不可欠です。患者さんが在宅医療を希望していても、家族の理解や協力が得られず断念されるケースもあります。 また、病院から訪問診療を行う医療機関が紹介されることがありますが、医療機関の選択は患者さんや家族が主体的に行うことが重要です。 往診ではスピードが求められますが、交通事情などにより迅速な対応が難しくなる場合もあります。さらに、医師・看護師・薬剤師など医療スタッフ間の連携不足も、引き継ぎミスを招く課題として挙げられます。

言葉の違いを理解した上での選択

画像

訪問診療と往診は、意味や制度、保険上の取り扱いに違いがありますが、どちらも今後の日本において欠かせない医療の形です。 定期的な知療を受けたい場合には訪問診療、急変時の対応には往診と、それぞれの役割を理解した上で、自身や家族に合った在宅医療を選択することが大切です。

まとめ

訪問診療と往診は、在宅医療を支える両輪です。言葉の違いだけでなく、制度や課題を正しく理解することで、より納得のいく医療選択につながります。入院医療が難しくなる中、在宅医療は今後さらに重要性を増していくでしょう。